ネントレのやり方完全ガイド|助産師・浅井貴子先生が教える「寝つきを良くする」魔法のメソッド


赤ちゃんの健やかな成長を願うとき、多くの保護者が直面するのが「睡眠」の悩みです。


「なかなか寝てくれない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」といった状況が続くと、保護者の方も心身ともに疲れが溜まってしまいます。


こうした悩みを解決する方法として注目されているのが「ネントレ(ねんねトレーニング)」です。


ネントレは、赤ちゃんを泣かせて我慢させるものではなく、安心して眠りに入る力を育てるための考え方です。


この記事では、助産師・浅井貴子先生の知見をもとに、赤ちゃんが安心して眠りにつくためのネントレの考え方と、今日から取り入れやすい工夫を解説します。

講 師:浅井貴子氏
助産師、NCA日本コンディショニング協会トレーナー 新生児訪問指導歴約20年のキャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3ヶ月児の育児のアドバイスや母乳育児指導を実施。世田谷区立産後ケアセンターでボディーケア責任者を務めるほか、またベビーマッサージや妊婦さん向けのセミナーの講師も多数。また、助産師の知識を活かした、妊婦水泳やマタニティーアクアビクスの専門家でもある。

ネントレ(ねんねトレーニング)とは?いつから始める?

ネントレという言葉に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。


厳しいルールに沿って赤ちゃんを泣かせることではなく、本来の目的は「赤ちゃんが自ら眠る力を育むこと」にあります。

ネントレの目的|「泣かせる」のではなく「安心して眠る力」を育む

ネントレという言葉に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。


厳しいルールに沿って赤ちゃんを泣かせることではなく、本来の目的は「赤ちゃんが自ら眠る力を育むこと」にあります。


ネントレの真の目的は、赤ちゃんが「ここは安全な場所だ」と確信し、自分の力で眠りに入る方法を学ぶのを手助けすることです。


赤ちゃんは本来、お腹が空いている、おむつが濡れて気持ち悪いといった理由がなくても、眠りの浅いタイミングで目を覚まします。


抱っこや授乳が入眠のきっかけになっていると、それがない状態では眠りに戻りにくくなりがちです。


一人でも安心して眠れる感覚が育つことで、夜中に目が覚めても、再び自分で眠りに戻りやすくなります。


大切なのは、無理に変えようとするのではなく、睡眠のリズムを整えていく視点です。

いつから?生後3ヶ月からの「着替え」と生活リズムづくり

ネントレを意識し始める時期として、一つの目安になるのが生後3ヶ月頃です。


この時期になると、赤ちゃんの体内では睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌が始まり、少しずつ昼夜の区別がつくようになります。


本格的なトレーニングを始める前に、まずは生活リズムの土台を作ることが重要です。


浅井先生は、日々の暮らしの中で次のようなポイントを意識することをすすめています。


  • 朝7時に起きてカーテンを開け、日光を浴びることで体内時計をリセットする
  • 日中は手指を使う遊びや外気浴を取り入れ、適度な脳の疲労を促す
  • 首が座り始める生後3ヶ月頃から、昼間の洋服とパジャマを分ける習慣をつける


パジャマに着替えるという行為は、視覚や肌の感覚を通じて、赤ちゃんに「活動の時間」から「休息の時間」への切り替えを教える大切な合図になります。


夏場はクーラーによる冷えを防ぐために長袖・長ズボンを選んだり、寝相が悪い子のためにスナップ付きでお腹が出ないものを選んだりと、機能面も考慮してあげてください。


こうした小さな習慣の積み重ねが、スムーズな入眠を促すきっかけとなります。

理想の睡眠スケジュール|「夜10時間+お昼寝」の黄金ルール

赤ちゃんの睡眠時間には個人差がありますが、夜にまとまった睡眠をとれることは、生活リズムを整えるうえで大きな助けになります。


浅井先生は、夜の睡眠を中心に考えつつ、日中のお昼寝と組み合わせることが大切だと話します。


基本的には年齢を問わず、夜間の睡眠時間は10時間を目安にしましょう。


理想的な基準は「19時〜7時の間に10時間眠ること」です。


たとえば、朝7時に起床するリズムであれば、遅くとも21時までには寝かしつけを完了させるのが理想的です。


以下に、理想的な1日のスケジュール例をまとめました。



7:00|起床・日光浴

カーテンを開け、朝が来たことを赤ちゃんに伝えます。体内時計を整える大切な時間です。


8:00|朝食(授乳・離乳食)

しっかり栄養をとり、一日のエネルギーを補給します。


10:00頃|朝寝(30分〜1時間)

月齢に合わせて、無理のない範囲で取り入れます。


12:00|昼食

日中の活動量を増やし、五感を刺激します。


13:00〜|昼寝(1〜2時間)

長くなりすぎないよう、15時頃までには切り上げるのが理想です。


18:00|入浴

お風呂でリラックスし、体温を一度上げて入眠の準備をします。


19:00〜20:00|就寝(ネントレ開始)

パジャマに着替え、毎日同じ入眠儀式を行います。


20:00〜7:00|夜間の睡眠

10時間程度のまとまった睡眠を目指します。



休日であっても、寝る時間や起きる時間が普段と90分以上ずれないように意識してください。


一定のリズムを保つことで、赤ちゃんの体内時計が安定し、寝ぐずりの軽減や夜泣きの予防につながります。

成功の9割は環境で決まる!「寝室」と「ベッド」の整え方

ネントレを成功させるために、最も重要と言っても過言ではないのが環境づくりです。


赤ちゃんが「ここは眠るための場所だ」と本能的に感じられる空間を整えましょう。

光・音・温度|生活音はあってもいい?2人目育児のリアル

寝室の環境を整える際、神経質になりすぎる必要はありません。


とくに2人目以降の育児では、上の子の声や家事の音がどうしても聞こえてしまうものです。


浅井先生によれば、掃除機の音やテレビの音量程度であれば、低月齢の赤ちゃんは意外と気にせず眠れることが多いといいます。


静かすぎる環境を無理に作ろうとすると、保護者の方のストレスにもなりかねません。


以下のポイントを意識して、心地よい空間を作ってください。


  • 夜は照明を落とし、間接照明を活用する(遮光カーテンで外光を遮るのも有効)
  • テレビやタブレットの音は控えるが、換気扇の音などの一定の音はそのままにする


大人が少し涼しいと感じるくらいの温度が、赤ちゃんには適しています。

安全基地を作る|胎内のような安心感を与えるベッドの重要性

赤ちゃんが安心して眠りに入るためには、「ここは安全な場所だ」と感じられる環境が欠かせません。


とくに寝る場所となるベッドは、ただ横になるための道具ではなく、赤ちゃんにとっての安心できる居場所(安全基地)であることが大切です。


周囲から守られている感覚や、視界に余計な刺激が入りにくい空間は、赤ちゃんの緊張をやわらげ、眠りに入りやすい状態をつくります。


毎日使う場所だからこそ、「落ち着ける」「安心できる」という感覚を積み重ねられることが、眠る力を育てる土台になります。


こうした考え方をもとに生まれたのが、ストッケ スリーピー ベッドです。


楕円形のフォルムは四隅に角がなく、赤ちゃんの視界に余計な刺激が入りにくい形になっています。


包み込まれるような形状は、胎内に近い安心感を与えやすく、寝る場所としての落ち着きを保ちやすいのが特徴です。


また、通気性や安全性、成長に合わせて使い続けられる構造など、赤ちゃんが長く「自分の場所」として過ごせる工夫も備えられています。

【浅井流】背中スイッチを発動させない!実践・寝かしつけテクニック

環境が整ったら、次は寝かしつけの場面です。


ここでは、背中スイッチに悩みやすいタイミングで意識したい、浅井先生の考え方をもとにした工夫をご紹介します。

入眠儀式(ルーティン)|スマホはNG!絵本やブランケットで安心感を

毎晩同じ流れで寝る準備をする入眠儀式は、赤ちゃんにとって「もうすぐ眠る時間だ」と理解するための大切なサインになります。


特別なことをする必要はなく、短時間で無理なく続けられることがポイントです。


おすすめの入眠儀式の流れをご紹介します。


  1. お風呂に入って体をゆったり温め、副交感神経を優位にする
  2. 肌触りの良いパジャマに着替え、眠りのスイッチを入れる
  3. 照明を落とし、テレビやスマホを消して静かな時間を作る
  4. 穏やかな声で絵本の読み聞かせを行い、安心感を伝える
  5. お気に入りのブランケットなどの入眠グッズを用意する


この時間、パパやママはスマートフォンなどのデジタル機器から少し距離を置くことも大切です。


大人の意識が赤ちゃんに向いていると安心感が伝わり、落ち着いて眠りに入りやすくなります。

抱っこの極意|おくるみ活用と「まあるい抱っこ」でリラックス

抱っこで赤ちゃんを落ち着かせるためには、体を安定させ、安心できる刺激を与えることが大切です。


おくるみを活用して体の動きをやさしく支えたり、まあるい抱っこでお母さんと同じ方向を向いてゆらゆらしてあげたりすることで、赤ちゃんはリラックスしやすくなります。

おくるみで体を支える「横向き抱っこ」

おくるみで体をやさしく包み、横向きの姿勢で抱っこしましょう。


体の動きが安定することで、赤ちゃんは安心しやすくなります。

お腹の緊張がゆるむ「まあるい抱っこ」

背中を丸く保ち、お母さんと同じ方向を向いて抱っこする方法です。


お腹まわりの緊張がゆるみ、落ち着きやすくなります。

ベッドへの置き方|「横向き着地」で成功率アップ!

抱っこで寝た赤ちゃんをベッドに置いた瞬間、起きて泣き出してしまう「背中スイッチ」。

これを防ぐポイントは、いきなり仰向けに寝かせないことです。


横向きの姿勢でゆっくりと着地させ、赤ちゃんの体が落ち着いてから仰向けに戻します。

姿勢の変化をゆるやかにすることで、モロー反射(びくつき)が起きにくくなります。

ネントレがうまくいかない時の対処法|昼寝・夜泣き・ギャン泣き

ネントレを始めても、最初からすべてがスムーズにいくわけではありません。


壁にぶつかったときの考え方を知っておくことで、心の余裕を持てます。

夜泣きの正体|生理的な現象なので「すぐ抱っこ」は少し待って

赤ちゃんの夜泣きの多くは、お腹が空いたなどの理由ではなく、眠りのサイクル(レム睡眠からノンレム睡眠への移行)が上手くいかないことによる生理的な現象です。


赤ちゃんが夜中に泣き出したとき、すぐに抱き上げて授乳をしてしまうと、赤ちゃんは「授乳しないと眠れない」と誤って学習してしまうことがあります。


泣き声が聞こえても、まずは1〜2分ほど様子を見てください。


赤ちゃんが自力で再び眠りにつけるかどうかを見守る時間を作ります。


どうしても泣き止まない場合は、抱き上げる前に、ベッドに寝かせたまま背中をトントンしてあげることから始めてみましょう。

お昼寝(昼寝)のネントレはどうする?日中の活動量との関係

夜の睡眠を安定させるためには、日中の過ごし方が大きく影響します


お昼寝の時間が長すぎたり、夕方遅い時間まで寝ていたりすると、夜の寝つきが悪くなります。


日中の活動を充実させるためのヒントをご紹介します。


  • 日光を浴びる外遊びを行い、夜間のメラトニン分泌を助ける
  • おもちゃを握る、つまむといった手指の刺激で脳を適度に疲れさせる
  • タンパク質をしっかり摂取し、安眠ホルモンの原料を補給する


お昼寝の際も、夜と同様に寝る場所(ベビーベッド)を固定することで、赤ちゃんにとっての睡眠のスイッチが入りやすくなります

パパの寝かしつけで泣くのはなぜ?役割分担のコツ

「パパが抱っこすると余計に泣いてしまう」という悩みもよく聞かれます。


眠いときや不安なとき、赤ちゃんは本能的にお母さんを求めやすく、パパの抱っこが下手というわけではありません。


こうした時期は、無理にパパが寝かしつけを担当するのではなく、役割分担を見直してみるのも一つの手です。


  • パパの担当(お風呂、げっぷ出し、高い高いなどの遊び、おむつ替え)
  • ママの担当(授乳、寝かしつけ)


お母さんの負担を減らす方法は寝かしつけ以外にもたくさんあります。


家族で協力し合う姿勢が、結果として赤ちゃんの安心感につながります。

ネントレの不安Q&A|サイレントベビー・授乳・断乳について

ここでは、ネントレを進めるうえで、多くの方が抱く疑問や不安についてお答えします。

サイレントベビーになる?愛着形成への影響について

「泣かせたままにするとサイレントベビーになるのでは」と不安に感じる方もいますが、適切なネントレでそのような状態になることはありません。


ネントレは放置ではなく、安心できる環境で眠りを見守る考え方です。


日中にしっかりスキンシップを重ねていれば、寝かしつけの際に少し見守る時間があっても、愛着関係は保たれます。


パパやママがしっかりと休息を取り、笑顔で赤ちゃんと接することができるようになることの方が、親子関係にとってプラスの影響を与えます。

夜間断乳はいつから?スムーズに進めるステップ

夜間の授乳を減らしていく「夜間断乳」は、離乳食が順調に進み、栄養の大部分を日中に摂取できるようになる生後半年以降がひとつの目安になります。


ただし、お母さんの睡眠不足が深刻な場合は、早めに検討してもよいでしょう。


夜間断乳を考える際は、次のような視点を持って進めると負担が少なくなります。


  • 日中の授乳や離乳食を充実させ、空腹で目が覚めてしまうのを防ぐ
  • 夜間の対応をパパに交代してもらい、お母さんのにおいによる授乳要求を避ける
  • いきなりゼロにするのではなく、少しずつ授乳の間隔を空けていく


決して自己流で無理をせず、不安があるときは、助産師など専門家のサポートを受けながら進めてください。

おしゃぶりや授乳での寝かしつけは続けてもいい?

授乳しながら寝落ちする「寝落ち」や、おしゃぶりを使った寝かしつけは、必ずしも禁止すべきものではありません。


母乳であれば、添い乳や授乳ですぐ寝付く赤ちゃんはそのままでよいというのが浅井先生の考えです。


ただし、赤ちゃんの様子によっては、少しずつ関わり方を見直すタイミングもあります。


夜中に何度も目が覚め、そのたびに授乳やおしゃぶりが必要になっている場合は、背中をトントンするなど、別の関わり方を取り入れてみましょう。


また、おしゃぶりは日常的に使い続けるよりも、1歳を過ぎた頃から少しずつ使用頻度を減らしていくと安心です。

まとめ|心地よい睡眠環境と「親子の笑顔」を守るために


ネントレは、赤ちゃんを型にはめるためのものではなく、家族全員が健やかに過ごすための環境づくりです。


大切なのは、完璧を目指して頑張りすぎないことです。


まずは、赤ちゃんが安心して眠れる環境を整え、毎日の流れを少しずつ整えていきましょう。


積み重ねによって、赤ちゃんの「自分で眠る力」が育ち、パパやママの心にもゆとりが生まれます。


心地よい眠りの先にある、親子の穏やかな時間を大切に育んでいけるといいですね。