常に、スタンダードの先へ
静止することが当たり前になった今、彼は「動くこと」の大切さを問いかけます。
1959年からデザインを手がけ、時代を超えて輝き続けるアイコン。
ジャズミュージシャンとして活躍し、絵を描き、環境保護活動にも取り組みながら、市場に革新と普遍性をもたらす家具を数多く生み出してきました。
「座る」という概念に、新たなスタンダードを打ち立てたデザイナー「ピーター・オプスヴィック」をご紹介します。
デザインの裏にある哲学
食卓からはじまる物語
トリップ トラップ 誕生のきっかけ
デザイナーのピーター・オプスヴィックが着想を得たのは、幼い息子トールの姿でした。
従来のベビーチェアではもう小さすぎるけれど、大人用の椅子ではまだ大きすぎる——
そんな成長の狭間にいる子どものために、彼はまったく新しい椅子を生み出しました。
1972年に発売されたトリップ トラップ チェアは、これまであった子ども用椅子の概念を一新しました。
ダイニングテーブルにぴったりと寄せられる設計で、小さな子どもも家族と同じテーブルで食卓を囲んで、一家団欒の時間を共有することができるようになりました。
トリップ トラップは、独自の高さと奥行きの調整機能により、あらゆる年齢・体格にフィットし、人間工学に基づいた快適な座り心地を提供するハイチェアとして、世界中のご家庭に広がっていったのです。
子どもは動くもの
床を子どもに近づけるという発想
デザインが時を超える理由
ピーター・オプスヴィックのデザインが時代を超えて愛される理由——
それは、そこに込められた深い思想にあります。
快適に座るためには、姿勢を変えられることが不可欠。
「最良の座り方とは、しばらく後に訪れる“次の姿勢”である」
——彼はそう考えました。
地面は、子どもたちに自由な動きを与えてくれます。
そこで彼らは、バランスを学び、協調性を育み、文字通り“足場”を見つけていくのです。
この考えこそが、トリップ トラップ® チェアの原点。
足のせ板によって「床を子どもに近づける」という発想を、見事に形にしました。
機能的な課題を美しく解決し、その独創的でタイムレスなデザインは、今やアイコンとなっています。
社会性を育む
家族で食卓を囲む
すべての世代が、同じテーブルを囲めるように
1972年、ピーター・オプスヴィックがトリップ トラップをデザインしたときの目標は、すべての年齢の人が快適に座れる、たったひとつの椅子をつくることでした。
小さな子どもと親との高さの差をなくし、目線を合わせて座ることで、家族のコミュニケーションはより自然に、食卓で過ごす時間がもっと楽しくなる——
そんな願いが、この椅子には込められています。
「トリップ トラップが多くの子ども達に愛用されて、とってもうれしいよ!」
ピーター・オプスヴィック
ルールに縛られない発想
独創的でありながら、確かな評価
静止を打ち破る、椅子の革命
ピーター・オプスヴィックが家具デザインにもたらした最大の功績——
それは、座る人に「動き」と「姿勢の変化」を促す椅子を生み出したことです。
彼の作品の中には、まるでアートインスタレーションのような椅子もあります。
しかし、その見た目に惑わされてはいけません。どれも驚くほど快適で、「じっと座る」という常識を打ち破るために設計されています。
このノルウェーの伝説的デザイナーは、現代を象徴する数々の名作を世に送り出してきました。
世界に認められた椅子たち
ピーター・オプスヴィックが手がけた椅子は、それだけでも圧巻のラインナップ。
Garden(Globe Concept/Moment)、HÅG Capisco(Flokk)、Balans Variabel(Varier)、Nomi(Evomove)——
どれも、座ることの常識を覆す革新的なデザインです。
そして世界中で愛され続けているトリップ トラップ は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ロンドンのデザイン・ミュージアムとヴィクトリア&アルバート博物館、
さらにドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアムの永久収蔵品として選ばれている、まさにデザイナーズチェアなのです。